将棋鑑賞の手引き2009・秋(1)「先崎 学のすぐわかる現代将棋」

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読書の秋、食欲の秋、将棋鑑賞の秋

最近、梅田望夫氏の著書「シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代」の効果か、将棋に(再び)興味を持った社会人の方々が増えているのかもしれない。それは氏のブログ「My Life Between Silicon Valley and Japan」の5月頃のエントリーを見ても感じられる。

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シリコンバレーから将棋を観る -羽生善治と現代 梅田望夫

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今更将棋を強くなろうとしてもなかなか難しいので、その興味はまずは総じてタイトル戦などの観戦に向かうだろう。そのため、将棋を観戦するための優れた鑑賞の手引きが必要となってくる。
将棋界もそれを十分察しているのだろう、2つの鑑賞の手引きが始まる(始まった)。今回はその1つ目の紹介。

NHK将棋講座「先崎 学のすぐわかる現代将棋」

10月からの「NHK将棋講座」(毎週日曜朝放送)のタイトルは、「先崎 学のすぐわかる現代将棋」。
先崎学八段が週刊文春に連載中の「先ちゃんの浮いたり沈んだり」によると、

最近のプロ将棋は、序盤から角を交換する含みを持つ戦術が多く、十年くらい前とまったく様変わりしている。そのあたりを易しく開設しようということになった。

とのこと。アシスタントは「どうぶつしょうぎ」の考案者である北尾まどか女流初段。今は懐かしい「先崎・神吉の将棋パトロール」のような軽妙な掛け合いが見られるだろうか。
もしかしたら、どうぶつしょうぎの解説もあるかも?相当売れているらしいし、小さいお子さんや親御さんのためにも、本当に解説する時間を設けたほうがよいかもしれない。

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片上流東大生ノート

ところで、この講座の開始にあたり、北尾女流初段の旦那である片上大輔六段がレポートを用意してくれたらしい。

このレポートだけで、半年間の講座ができるであろう。まあ、高段者しか分らない、どえらく難しい講座になることはうけあいだが。(中略)
結局、片上ノートは、本文には一行も出ないものの、もの凄く役に立った。片上君、お酒ご馳走してあげるから、またよろしくね。

このレポートが「片上流東大生ノート」(ご存知の通り、片上六段は東京大学出身棋士である)や「片上ノート」などの著書名で発売されたら、ぜひ買ってみたい気がする。

ところで本コラムの最後に先崎八段は

東大生のノートはあまりにも別世界で、迫力があり、神々しくさえ思えた。自分と同じ職業の人間が、これを書いたとはとても思えなかった。

とご謙遜されているが、数多くの著書を持つ先崎八段の軽妙なモノ書き力は多くのファンの知るところだ。
むしろ興味深い点は、研究者タイプの頂点の人間と、芸術家タイプの頂点の人間が、厳しい奨励会を突破し、いずれも同じ「プロ棋士」という職業に就ける、ということだろう。いろいろなタイプの天才がいるからこそ、全員が最善手を求め、最善手に近い手を指し続けているにもかかわらず、指し手に個性が生まれ棋譜に個性が生まれるのだ。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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