2008/11/01のエントリー『「第21期竜王戦第1局に見る、「穴熊のパンツ」と「ゼット」の関係』で紹介した、第67期順位戦C級1組5回戦、▲広瀬章人五段VS△村山慈明五段戦(第1図は▲3三角打!の局面)。
などなどの要素により、本局はプロ棋士間でも大いに話題になったようだ。ちなみに広瀬五段は、超アマ強豪として有名な「アナグマン」こと遠藤正樹アマと「とっておきの相穴熊」という書籍を共著されている。
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この対局の、先手・広瀬五段自身による自戦記が、「将棋世界」2009年1月号に載っている。
第1図以下△3三同桂▲3二歩(詰めろ)と進んだわけだが、「▲3三角に対し2二に合駒されてたら?」「▲3二歩以下の寄せ方がわからない」「序中盤も知りたい。先手は四間飛車だった?三間?」などの疑問を誰しも持っていただろう。無論私も。
これらが詳細かつていねいに解説されている。ぜひ盤に並べてじっくりご覧あれ。必見だ。
とりわけ▲3三角の一手について、アマチュアとは違う深い視点で語っているのが印象的だった。
ただプロの視点から見れば一目の手なので、角を打って明快に勝ちならばおそらく実現することはなかっただろう。プロの将棋はこういった派手な手を殺しあうことが多いからだ。
ただ今回は事情が違った。角を打った後もかなり変化が難解で、村山五段も寄るとは思わなかったというニュアンスのことを言っていた。いろいろな条件が重ならないと成立しないという意味では、私がいままで指してきた中で一番の出来だと言えるだろう。
▲3三角という手があること自体は、第1図の局面の数手前からお互い読み切り。その十数手先までの読みの相違が、派手な一手や重厚なドラマを生んでいるのだ。
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