今更だが、覚え書きとして書き記しておく。
最終日の5日、恒例のソフト対アマトップの公開対局が行われたが、2005年アマ竜王でアマ名人の清水上徹さん(28)が激指に、04年アマ竜王で朝日アマ名人の加藤幸男さん(26)が大会2位の「棚瀬将棋」(開発者=棚瀬寧氏)にそれぞれ完敗した。
プロレベルの実力を持つ現役アマタイトル保持者がコンピューターに敗れるのは初。
トップアマに勝っているのだから強いのは間違いないのだが、コンピュータ将棋同士の対局は、終盤戦であっても結構滑稽な手が多く飛び出す。
棋譜を見ていて、下記のようなことが思い浮かんだ。
- 優勢側は、最善手でなくても、次善手(逆転されない手はすべて「次善手」に含む。逆転される手は「悪手」とよぶ)を指し続けられれば勝つ。
- 不利側には、「形勢を離されてはいけない」という条件付でも、いろいろな粘り方がある。
将棋の奥深さ、奥ゆかしさを感じる。
あるいは、下記の可能性も感じている。
- 中盤戦では、トップ同士の対局であっても、優勢をキープできる手は1手だけというぎりぎりの局面で戦い続けてはいない。
昔、田中寅彦先生の次の一手問題集で、VS大山康晴先生との実戦譜からの問題が出ており、中盤戦で、優勢の田中先生側の手が5手くらい連続して問題となっていた。これはすなわち、劣勢の大山先生が、相手が唯一の最善手を指し続けられないと逆転する手を指し続けていたことになる。すべてが次の一手問題になる難解な応酬。そして、田中先生は最善手を指し続けて大山先生に勝った。
この問題集を見たときは、プロはこんなにぎりぎりの局面で戦い続けているのかと鳥肌が立ったものだった。が、実際には中盤ではこういうケースは案外稀なのかもしれない(プロでも先後共にぼちぼちの手を指し続けている可能性があるということ)。
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