プロの観戦記で、「○○ペース」という記述は個人的にあまり好きではない。徹底的な形勢分析・正解手順解説を望む。
「ペース」の用法は、例えば「先手ペース」「穴熊ペース」など。またここでいう「プロの観戦記」というのは、正確にいえば「観戦記のプロが書く、プロ棋士の将棋の観戦記」のこと。例えば将棋雑誌、新聞、「asahi.com」の将棋ページなどに載っている観戦記のことだ。
「ペース」は、形勢が実際のところ良いのか悪いのかがわかりにくく、形勢判断を下すのを逃げる意味合いが無いとは言えないと考えている。なお、「ペース」を辞書で引くと下記の通り。「形勢」のような意味合いは無く、「テンポ」、「リズム」といった感覚か。
ペース 1 [pace]
(1)歩いたり、走ったり、泳いだりする時の速度。
「―を上げる」
(2)物事を進める速度。また、進み具合。テンポ。
「―を守る」
三省堂提供「大辞林 第二版」より
pace
【名】
1. 歩調{ほちょう}、歩き方、歩み、速度{そくど}
・He walks so quickly I can't keep up with his pace. : 彼があまりにも速く歩くので、私は彼の歩調についていけない。
2. 歩幅{ほはば}、一歩
大局観のイメージをつかみやすくてわかりやすいという利点はある。例えば、「細い攻めをうまくつなぎ、やや駒損だが穴熊らしい戦い方でまずまずだから穴熊ペース」のような用法。また、棋士の棋風や特徴をとらえていて情緒を表現できる利点もあるといえよう。「若干不利だが終盤力を発揮できる展開で鈴木(大介先生)ペース」など(なんだよそれ、と突っ込みたくなったりもするが)。
したがって「ペース」を使うなとは言わないが、実際のところの形勢、そして以下の正着手順は合わせて付記すべき。プロ棋士や将棋連盟とのコネクションがあるのだろうから、それを活用して明確な形勢判断を記述してほしい。コネクションが無いとしたらそれは問題で、日本将棋連盟は所属トッププロ棋士を活用して形勢を分析し、情報を積極的にプロ観戦記者に提供すべき。
いまや膨大な棋譜データが流出し、また、棋譜を見て一億総アマチュア観戦記者化してしまう時代。差別化を図れるよう、プロの観戦記の充実に期待したい。人間ドラマや対局背景を観戦記に望む人もいれば、徹底的な形勢分析・正解手順解説を望むアマチュアもいるのです。
コメント
コメント一覧 (1件)
> mkomiyaさん
こちらこそ、コメントいただきありがとうございます。
おっしゃるとおり、一手一手に(もっといえば自由なタイミングで)コメントを挿入できたほうが面白いでしょうね。コンピュータ将棋同士の対局のニコニコ動画見ました(ちなみに「谷川浩司の将棋指南」は昔持っていました)。
コメントを付ける方々の棋力が様々だったのも面白さの1つでした。
私は、対局プログラムは諦めたくちです。対局プログラムを作っている皆さんを影ながら応援しています。これからも頑張ってください。