経済物理学の発見 (光文社新書) | |
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最近「株」が流行っている。株に限らず、お金の流れに少し興味を持ったので、書籍をあたった。しかし普通の株の本を読んだわけではない。
最新物理学が経済学の常識を、根本から覆す!
経済物理学はカオスやフラクタルといった物理学の手法と概念を利用して、データーに基づいて実証的に現実の経済現象に立ち向かう、まったく新しい科学の分野である。まだ誕生して10年にも満たないほどの若い研究分野だがこれまでの経済学の常識を覆す発見や、斬新なアイディアが次から次へと報告されている。複雑で不安定なお金の世界にも、ものの世界と同じような自然法則が成立している。エコノフィジックスという手法に基づきこれから進むべき未来のお金の世界を探求する。
全8章のうち、6章以降はあまり見るべきものは無かったが、それまでの内容は非常に興味深いものだった。市場例として取り上げられているのは、株ではなく主に「為替」市場。自分へのメモもかねて、キーワードを列挙しておく。
べき分布やフラクタルは、この書籍で取り上げられている経済の分野に限らず、バイオ、インターネットなど様々な分野でその有効性が確認され、モデル化の研究などが進んでおり、最近のトレンドだそうだ。
例えば、岩石に衝撃を与えて破砕すると、その破片の大きさの分布はベキ分布となる。大きな破片はほんの数個。中くらいはかなりの数。小さな破片、特にほこりのような小さなものは無数となる。このとき、ほこりのような破片は星の数ほどあるので、大きさの平均はほとんどゼロとなる。しかし標準偏差を計算すると、小数だが大きな破片の寄与が影響し、非常に大きな値となる。つまり、正規分布では大きな変位のものが現れる確率が急速に小さくなる特徴を持つのに対し、べき分布ではぶっ飛んだ変位の発生する確率も結構ある、ということ。
為替市場での具体例で言うと、正規分布ではシックスシグマ(標準偏差の6倍)をはみ出るような事象は100万回に1回くらいしか起こらないのに対し、為替市場ではシックスシグマをはみ出るような変位が起こる確率はおよそ1000分の1だそうだ。
他の例では個人所得があり、年収2000万円程度までは対数正規分布に則り、それ以上の所得分布はべき分布に従うという。
勉強しないまでも、これらキーワードを心にとめておくと良いかも。
コメント
コメント一覧 (4件)
はじめて、書き込みます。
本日のエントリーとは関係ないのですが、ちょっと、書かせてください。
いま、ボナンザが話題になっていて、ボナンザのGUIとして使われている、CSA将棋の改良版として、GUI FOR BONAというものが出ていて、僕なども便利に使わせてもらってます。僕自体は、このGUIの将棋盤の大きさは、ちょうどいいのですが、BONA作者のゲストブックに「盤の表示が大きくなりませんか」という、書き込みをよく見かけます。
たとえば、GUI FOR BONAのソースが公開されていて改造OKということであれば、今のGUI FOR BONAの機能は、そのままに、表示だけをフラッシュに置き換えて、盤の大きさを可変(おもに拡大)に、するということは技術的に可能なのでしょうか?
もし、よろしければ、教えてください。
>Yさん
はじめまして。
技術的には可能なのではないかと思います。といっても私の現在のスキルでは、表示部であるフラ盤に対して、指し手や形勢判断結果等の内容を通知するインターフェイスをどうやって構成すればよいのかわかりません。
私はGUI FOR BONAというのも知りませんので、暇なときにでもじっくり見てみたいと思います。ソースが公開されていれば望ましいですね。
御返事いただいたのに、放りっぱなしですみません。
あと、掲示板が、あったのですね。うっかりしてました。
そっちに、そもそも書くべきでした。
都合があって、今は無理なので、明日か明後日、きちんとレスを書きたいと思います。
いえいえ、別に問題ないですよ。私自身が非常にのんびりしていますので。
そうですね、掲示板のほうが都合よいです。また何かありましたらどうぞ。