続・瀬川新四段 VS 中田功七段 

2006/03/08のダイアリー、瀬川新四段VS中田功七段の続き。再掲載の第2図。

ここから▲2六飛が悪手で、とりあえず▲2四歩と突いておく一手のようだ。△同歩と取らせておけば、以下本譜と同様に進んだときに居飛車側得となる。△同歩の代わりに△5四金の場合は、以下▲3一角成△3六歩▲2三歩成△3七歩成▲同銀で、これも難しいながらも先手良しとのこと。

▲2六飛は、3筋がほぐれれば先手の飛車が横に効いてきて価値のある一手となるが、ほぐれなければただの一手パスになってしまう。逆に言えば、後手は▲2六飛を相手にしないような戦い方が有効となる。その方針のもと、考えられる一手が「2筋・3筋は相手にせず中央から手を作る」△5二飛!(第3図)で、実際これが好手となる。

△5二飛は、上記発想とあわせ「捌きの精神(飛車が2筋にいては受け一方で働かない)」により生まれる一手だが、すぐに見える▲5三銀で捌きを完全に封じられる(飛車金両取りでもある)ため、非常に指しにくい。しかし、▲5三銀に対し△3二飛と逃げれば、6四の角と5三の銀が非常に窮屈な形となっており、次に△5四金があるので先手は実は忙しい。以下▲2四歩(突き捨てを入れなかったためこのタイミングで突かねばならない)には△5四金(当然の手抜き)▲2三歩成△9九角成▲3二と△6四金▲同銀成△9七角!(▲同桂と取ると△7七銀から詰んでしまう)で後手良し。▲2四歩のところ▲4四銀成△同角▲4三金には△6二飛として、6筋からの飛車の攻めor9九への角成りのいづれかが確定し、これも後手良しだろう。

第3図以下の指し手
▲2四歩  △5八飛成!
▲同 金  △5四金
▲3一角成 △9九角成 (第4図)

第3図からの▲2四歩は、たった一手遅れただけだがもはや手遅れで、上記の変化手順同様△同歩とは取ってくれない。△5八飛成は、「捌き」の方針から考えれば当然ともいえる一着だが、瀬川先生は見落とされていた。第3図から▲3一角成と指していれば、△5四金が6四の角にあたってこないので△9九角成りを受けることができたのだった。しかし▲3一角成には△5八飛成ではなく△4七歩でやはり後手良しとのこと。第4図は、アマチュアレベルではまだまだ波乱もありそうだが、プロレベルではぶっ大差で振り飛車良しとのこと。

さて一局を振り返って、第2図の△3五歩が定跡となっていない(定跡書に載っていない)のは、第2図から▲2六飛の代わりに▲2四歩ならば居飛車良し(2006年3月現在)だから、ということでよいのだろう。△5二飛以下の指し回しも含め、非常に参考になった。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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