サインを求める記者に対する羽生名人の対応

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第67期名人戦開幕

将棋は普通の相矢倉となったので、特に内容には触れない。取り上げるのは、良かれ悪しかれ(どう考えても印象の悪い話題か)「Yahoo! JAPAN」で堂々のトップトピックスにもなっていた、あの話題だ。

将棋の羽生善治名人(38)に郷田真隆九段(38)が挑戦する「第67期名人戦」(朝日新聞社など主催)で10日、朝日新聞の委託を受けて観戦記者として立ち会っていたフリー記者(75)が、対局中の羽生名人にサインを求めるトラブルがあった。

これはすごい。中座しての雑談はあっても、読みふけっている対局者に対して声をかけるとは、アマチュアの大会でも相当お目にかかれない。どちらの手番かは関係ない。両対局者に対して大いに失礼だ。

そしてこのような異常事態における羽生名人(および郷田九段)の対応も見事だった。上記記事からの引用を続ける。

羽生名人は対局を中断する形でサインに応じ、頭をかく仕草をしながら盤面に目を戻した。この間、郷田9段は水を飲むなどして様子を見守った。

拒否して声を荒げることもなく、さらっと応じて「事件」を終局させた。*1

ユニフォームを求めるサポーターに対するサッカー選手の対応

似たような光景は、たまにサッカーにも見られる。試合後あるいは試合中に、興奮したファンがグラウンドへ乱入し、お気に入りの選手の下へ駆け寄って抱きついたり、ユニフォームを求めたりすることがある。このときの優良な選手の対応も、同様のものだ。

抵抗せず、ユニフォームを素直にあげる。

無理に抵抗すると、危険な目に会いかねない。
ユニフォームをもらったサポーターは、握手して満足して走り去り、そしていくばくもなく御用となる。

対局中サインに応じても勝つ羽生名人

さて本局の結果は、既報の通り後手・羽生名人の勝ち。異常事態にも動じないメンタルの強さを見せつけた格好か。流石としか言いようがない。

*1:ただし、数十年前の将棋界であれば、むしろ棋士が激高して退席するほうが自然だったのかもしれない。昔の棋士のエピソードを読んでいるとそう感じる。ともかく今の時世においては羽生名人の応対は最善手だったことは間違いないといえるだろう。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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