「東大将棋ブックス 石田流道場」書評

「三間飛車道場第4巻・石田流」だと思ったら、意表を突かれた。タイトルは、「石田流道場」。

所司 和晴 毎日コミュニケーションズ 2004-12

まえがきによると、「石田流という戦法はかなり独特」なため、単独とした、とのこと。独特とはいえ、まず三間に振るわけで(立石式石田流を除く)、三間飛車戦法の中の主流戦型の1つとして数えられるはずなのだが。

書籍タイトルやサブタイトルに「石田流」を付けることの意義については以前2004年8月26日のダイアリーで述べたが、今回は大々的に「石田流」を銘打ってきたわけだ。

たしかに、内容は純度100%の石田流本(ただし居飛車急戦調の戦型のみ)。石田流党必見である。

読んでいて、P38〜P39のところで以下の疑問が生まれた。

疑問

P38の第2図で「△5四角は時期尚早(以下▲6五歩△同歩▲5六銀△6四銀に▲4六角の反撃があるため)」としておきながら、なぜ△5二金▲4六歩と進めたP39の第3図で△5四角とする手を解説していないのか(このタイミングなら▲4六角の反撃はない)?

この△5四角の筋は、どの石田流の定跡書でもあまり述べられていないが、個人的には升田式石田流側を持っていて結構いやな筋である。数行でいいので解説しておいてほしかった。

さて、回答としては、△5二金と上がっていて7筋への金の応援が効かないから石田流側問題なし、ということなのだろうか?

具体的には第3図から△5四角▲6五歩△同歩▲5六銀△6四銀に▲7四歩。もしくは第3図から△5四角▲6五歩△同歩のところで▲5五角。次の▲7四歩が狙い。以下△8四飛▲5六銀△6四銀▲同角△同飛▲5五銀(打)は先手良しか。

他に、豪快な誤植を見つけた。

P118〜P156は、「第三章 8四歩型」に属する部分(初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7四歩!)で、ページ上部の表記は「8四歩型 △8五歩に▲7四歩」であるべき。

だが、実際には「6六歩型 △8五歩に▲7四歩」と表記されている。「6六歩型」は第四章だ。はじめ、ページをめくっていて混乱してしまった。

私の所有している書籍は第1刷で、第2刷からは当然直してあるはず。なんでこんな初歩的な誤植をしたのかよくわからない。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 近所の本屋にまだ入荷してないため、誤植本を買わなくてすみました(笑)
    第2刷以降まで待って、上記誤植が直っていることを確認した上で購入しようかと思います。

  • 第2刷でも直っていなかったらさらに購入延期ですかね(笑)。
    というのは冗談で、気づいていれば特に問題はないと思いますけどね。はじめは、「なんで▲6六歩と突いていないのに6六歩型なんだろう?」と不思議に思いましたが。

  • とか言いながら本屋で見つけると速攻買いだったりしました。サガですねえ^^;

  • 「真・石田伝説」はかなり売れたようですので、「石田流道場」も結構売れるんじゃないですかね。
    「東大将棋ブックス」シリーズも「振り飛車ワールド」シリーズもしばらくお休みということで、将棋関連書籍発売の流れはしばらく落ち着きそうです。

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