将棋を始める年齢と「ゴールデンエイジ」

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プロ棋士になるための、将棋を始める年齢

今の時代、プロ棋士になるためには、現実的な事例から考えて小学2・3年生(7・8歳)位から将棋を始めていないとならないのは間違いなさそうだ。森けい二先生のように16歳から将棋を覚えても間に合うケースもある(参考:「森けい二 - Wikipedia」)が、これは先生がよっぽど頭が柔らかかったか、才能があったからに違いない。

羽生 善治 (著) 発売日:2011/12/16

10代になってからでも猛特訓をすれば間に合うように感じるのに、そうはいかないのはなぜなのだろう。

「手筋」や「大局観」を神経回路に編み込む

サッカーの世界では、下記のような考え方がある。

技術の習得は新たな神経回路の形成ですから、脳・神経系の可塑性(やわらかい性質)が高い方が有利です。従って、その大脳の可塑性が比較的高く、また動作習得のためのレディネスもピークを迎え、双方が絶妙なハーモニーを奏でるゴールデンエイジが重要視されるのです。
それは、動きを頭で理解してから体に伝えるのではなく、見たまま感じたままのイメージに従って体全体で技術を吸収していく特別な時期だからです。そのために、この時期以前(プレ・ゴールデンエイジ)に様々な運動・遊びを通じて、神経回路を開いておくことが条件となります。

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少年期は、神経系の発達が著しく、5〜6歳で成熟期のほぼ80%、12歳ではほぼ100%に達してしまいます。そして張り巡らされた神経経路はなかなか消えないという特徴を持っています。「1度自転車に乗れるようになったら何年間も乗っていなくてもすぐにまた乗れる」「子供の頃覚えた遊び(コマやあやとり等)は大人になっても忘れない」のはそのためです。このさまざまな神経回路が形成されていく大切な時期のうち、特に9歳〜12歳頃の年代は「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、サッカー以外のスポーツでも重要視されています。

少年サッカー情報倶楽部〜今どき事情〜少年期の身体的特徴

神経回路が形成しきる前に技術を覚える。これは肉体を使わないゲームについても言えるのだろうと思う。
というか、頭脳よりも運動能力が重視されそうなスポーツの世界で上記のような概念が議論されているのに、むしろ将棋のような頭脳が最重要視されるゲームにおいて同様の議論がなされていない(私は文献を読んだことがない)気がして、とても不思議だ。

将棋においては、神経系が発達し切る前に「手筋」や「大局観」に明るくなっておく必要がある、と置き換えられるだろう。これにより、棋理に則った手が脊髄反射的に第一感として思い付くようになる。
私が将棋を始めたのは中学1年生のとき。こんなに長く楽しむ趣味になっているのであれば、もっと早く始めたかったな、というのが今の感想だ。

おまけ・・・「黄金世代」

突出したメンバーが集まった年代のことを、日本では「黄金世代」や「ゴールデンエイジ(Golden Age)」と呼ぶのは周知の通り。
サッカー黄金世代といえば稲本・小野世代辺りで、将棋の黄金世代といえば「羽生世代」。

羽生世代 - Wikipedia

ところで、「黄金世代」はよいとして、「ゴールデンエイジ」という名称は和製英語で、本当は「ゴールデンジェネレーション(Golden Generation)」と名付けるべきだった。

黄金世代(おうごんせだい)とは、特定の分野において比較的狭い年齢層に突出した才能を持つ人材が集中することを指す言葉であり、英語のgolden generationの和訳である。近年ではスポーツ分野、特にサッカーで用いられることが多い。

黄金世代に対して、golden ageという英訳をあてる例がしばしば見られるが、英語圏ではgolden ageは「老人世代」もしくは「黄金時代」(特定の分野が隆盛を誇った時期)という意味で用いられることが多い(ただし、golden generationも老人世代の意味で用いられることがある)。

黄金世代 - Wikipedia

誤った和製英語が誕生した理由として、おそらく下記のような経緯を辿ったに違いない。残念。

  1. はるか昔「Golden Generation」という英語が日本に伝わる。直訳すると「黄金世代」(これは問題ない)。
  2. 時は流れ、横文字を取り入れる世の中の風潮に従う際、「黄金世代」を「ゴールデンエイジ」と横文字化。
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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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