「将棋世界」2009年7月号に、棋王戦第2局の自戦記掲載予定

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久保棋王本人が新手・▲7五飛を解説予定

はじめに注意書きしておくと、タイトルに書いた「将棋世界」2009年7月号は、現在書店に並んでいる「6月号」ではなく、来月号のことだ。

棋王戦第2局とは、いまだみなさんの記憶に新しいであろう、升田幸三賞に輝いた新手・「升田石田流からの▲7五飛」(第1図)が飛び出した対局のことである。
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この対局が、久保棋王自身によって語られるとのことで、とても楽しみだ。こうご期待。

なぜ7月号?

ひとつ気になったのは、なぜこの自戦記が今発売中の6月号に載らなかったのか、ということだ。ページ数に問題が無いことは間違いない。なぜなら、普段1局だけ掲載される「リレー自戦記」で、6月号には「スペシャル3本立て!」の特別編が組まれたくらいだからだ。ちなみにその3局とは

  • 第22期竜王戦1組 佐藤康光九段*1 VS 木村一基八段
  • 第67期順位戦B級2組 豊川孝弘七段 VS 中田宏樹八段
  • 第40期新人王戦 稲葉陽四段 VS 里見香奈倉敷藤花*2

で、これはこれで楽しめた。
久保棋王の自戦記原稿が間に合わなかったのだろうか。棋王戦第5局が行われたのは3月30日。棋王位を獲得し、連日取材や祝賀会でスケジュール的に厳しかったのかもしれない。

理由はお察しするが、あえて苦言を呈すれば・・・
Web上では連日ニュース速報が飛び交い、視聴者は付随した詳細情報もできれば早く入手したいと望む体質となってしまった。また、情報のインプットが膨大になったため、古い情報は以前よりも早く忘れ去られていく。
雑誌などの紙媒体は、あえてじっくりと精査・校正してから世に出すのがスタイルなのかもしれない。しかし、可能な限りはタイムリーな、鮮度を意識した情報提供をするべきではないだろうか。

私は先月10日に、「将棋世界」2009年5月号について紹介した下記のようなエントリーを書いた。

升田幸三賞受賞の新手「早石田▲7五歩」を生んだ、第34期棋王戦第2局。(中略)
この解説を楽しみにしていたのだが、第3局の解説に多くのページを割いており、第2局の解説はなんと無し!
おそらく6月号に、将棋大賞や升田幸三賞の選考会の模様紹介とともに、この新手の解説が載ることだろう。楽しみに待つことにしたい。

実際には、6月号には将棋大賞や升田幸三賞の選考会の模様紹介はあったが、新手の解説は無かった。「楽しみ」は2ヵ月持ち越し。この情報化社会のご時世で、だ。まあ気長に待つこととしよう。

「升田幸三賞」受賞理由について

ところで、既報の通り第15回升田幸三賞は「棋王戦第2局の▲7五飛」が獲得したわけだが、これにはWeb上の各地で賛否両論の声が上がっていたように感じた。私自身は、本手よりも渡辺明竜王の急戦矢倉新手2手セットのほうがふさわしいと思っていた。
将棋世界6月号に載っていた選考理由を少し抜粋させていただく。

先手石田流の指し方の幅を広げる構想、独創性という点で見ても今年度の候補手・戦法の中では群を抜いています。また、「さばきのアーティスト」の異名を持つ久保八段らしい指し方である点も評価したい。

なるほど。まあ群を抜いているのかどうかは、結局評価が分かれるのだけれども。
選考会の模様の詳細は、誌面をご覧下さい。

香落ちで金井恒太四段に圧○

棋王戦第2局の自戦記が間に合わなかった代わりに、というわけではないだろうが、6月号の「トップ棋士VS新鋭棋士 指し込み2番勝負!」のほうで久保棋王が登場している。対戦相手は、昨年度連勝賞を受賞した金井恒太四段(11連勝)。
ネタバレになるので結果はふせておくが、「圧勝」か「圧敗」のどちらかだった、ということだけ紹介しておこう。圧巻の指し回し。香落ち戦の参考になること間違い無しだ。

*1:「佐藤九段」に相当な違和感がある・・・。少し寂しい。

*2:結果は里見香奈倉敷藤花の勝ち。一般ニュースで紹介され話題となったので、ご存知の方も大勢いらっしゃるだろう。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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