「将棋世界」2009年7月号に、関西若手四強の特集

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特別企画「関西若手四強を語る」

「将棋世界」2009年7月号に、橋本崇載七段と畠山鎮七段による題記の座談会(司会:小暮克洋氏)が載っていた。私自身、2009/04/25のエントリー「関西若手四強が活躍」でも述べたように、まさにこの4名の活躍に注目していたので、とても興味深く読んだ。

彼らはこれまで本ネーミングのほかに「関西若手四天王」、「関西若手四銃士」などとも呼ばれていたのだが、今回の大々的な特集により、「関西若手四強」というネーミングが市民権獲得を確実としそうだ。*1
だが実は、後述するように、これらネーミングが早々に「解消」されることのほうが、将棋界にとっては面白く、望ましいかもしれない。

「もっと若い世代」

つい先日の「【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(1)将棋界は「これからの10年」抜群に面白くなる - MSN産経ニュース」の中で、

第一の理由は、棋士同士の戦いが間違いなく「戦国時代」に入るということである。
「四つの世代」のせめぎ合いという視点でこれからの「戦国時代」をとらえると、将棋に詳しくない方にも、将棋界を俯瞰した視点が持てるのではないかと思う。
「四つの世代」とは、この十五年、将棋界を制覇してきた「羽生世代」(1969年から71年生まれ)。そしてその「ちょっと下の世代」(1972年から1975年生まれ)。さらに、二十代半ばの「渡辺竜王を中心とする世代」(1980年から1985年生まれ)。そしてそれよりも「もっと若い世代」。
この「四つの世代」が、これからの十年、激烈な争いを繰り広げることになるのだ。

と紹介されており、さらに「羽生世代」と「ちょっと下の世代」についての深い解説がされている。
一方でこの記事では「渡辺竜王を中心とする世代」と「もっと若い世代」についての説明は無いわけだが、そう、彼ら「関西若手四強」が、後者の「もっと若い世代」に当てはまる、といえる。最近将棋ファンになった方々は、とりあえず彼らに注目しておけば、「戦国時代」に乗り遅れずに将棋の世界を楽しめるはずだ。

「チャイルドブランド」→「羽生世代」、「関西若手四強」→「?」

ところで、最近将棋ファンになった方々は、「チャイルドブランド」という用語をご存じないのではないだろうか。

チャイルドブランドの台頭
羽生世代のうち10代からめざましい活躍をした羽生・村山・佐藤・森内の4人は、島朗によって「チャイルドブランド」と命名された。4人のうち羽生・佐藤・森内の3人は、島が主宰する研究会「島研」で腕を磨いたメンバーであった。年上の森下卓(1966年7月10日- )も広義でチャイルドブランドの一人とされた。
1980年代後半にあって、従来の形・慣習にとらわれない将棋観を持つ彼らは、先輩棋士達をなぎ倒していく。1988年度のNHK杯戦で、18歳の羽生善治が4人の名人経験者(大山康晴十五世名人、加藤一二三九段、谷川浩司名人…準決勝、中原誠棋聖・王座…決勝)を破って優勝したことで、将棋ファンにもチャイルドブランドの強さが印象づけられた。
1990年代前半には、森内と先崎が棋戦優勝、郷田と佐藤がタイトル獲得をする。羽生を含む彼ら5名は早熟のため、A級昇級よりも優勝・タイトルが先行した。

羽生世代は昔、その見事な勝ちっぷりから「チャイルドブランド」と呼ばれ恐れられていた。が、その名称はしばらくして使われなくなった(私は将棋ファンとしてリアルタイムでその刻をすごしていないので、厳密な時期はわからない)。周りから見て「可愛げの無い」勝ちっぷりと、この微笑ましいネーミングが、あまりにもミスマッチになってしまったからだ。

その時代から鑑みると今回のケースでも、この「関西若手四強」という名称が定着した今だからこそ、彼らが「若手」意識を早々に拭い去り、世代を超えて上の世代と対等に戦い、戦場をかき回す活躍を見せる姿に期待したい。そしてその先に待っているかもしれない、ワクワクするような本当の「大戦国時代」、いや「関西覇権時代」に思いを馳せるとしよう。
とりあえず好き勝手に予言しておこうか。「豊島時代」と呼ばれる日が来る、と。

ついに久保棋王の自戦記

この「将棋世界」7月号には、2009/05/19のエントリー『「将棋世界」2009年7月号に、棋王戦第2局の自戦記掲載予定』で述べた、待ちに待った久保棋王の自戦記がついに掲載されている。もちろんこれも必見だ。

*1:ただし、将棋世界同号の「名局セレクション」第22期竜王戦昇級決定戦6組・▲村田顕弘四段VS△児玉孝一七段戦(選局・解説:山本真也五段)の記事中では、「関西若手四天王」というネーミングが使われている。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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