激指 VS GPS将棋 VS TACOS VS 大槻将棋
駆け込みでご紹介。明日・明後日の2日間にわたって行われる。「Bonanza」は出場しないようだ。
日程
1月14日(木) 午前9:30〜16:00
1月15日(金) 午前9:30〜12:00
参加チーム:
過去2年間主要な大会で優勝したソフト4チームによる戦い
(4チームに満たない場合はそれに準ずる成績を上げたソフト)
- 激指 (前回優勝,2008年世界コンピュータ将棋選手権優勝)
- GPS将棋 (2009年世界コンピュータ将棋選手権優勝)
- TACOS (2009年 Computer Olympiad 優勝, 2008年 Computer Olympiad 優勝)
- 大槻将棋 (2009年世界コンピュータ将棋選手権準優勝)
当たり前に強いコンピュータ
昨年は2月に行われたので、1ヵ月早い開催となったようだ。
昨年の大会の紹介エントリーはこちら。
昨年の今頃は、ボナンザの思考部ソースファイルが公開されたことで大騒ぎとなっていたので、この話題と絡めて世界最強決定戦を紹介した。
それが今や、ボナンザに限らずコンピュータ将棋業界全体的にとんでもなく強い、というのが真っ先に注目されていて、ボナンザチルドレンかどうかは焦点では無くなってしまった風潮を感じる*1。
アマトップを凌駕し始めたのは各所でのエキシビジョンマッチの結果が示しており、始めに餌食になるプロ棋士は誰なのか、そしてトッププロと対局したらどうなるのか、如実に現れる勝敗の結果に興味が戻ってきていると思う*2。
どうせ強いなら、人間が棋譜鑑賞して不自然でない、いわゆる「棋理」に則った最善手を選び続けてほしい。そうであれば何メソッドでも構わない。その上で、コンピュータ毎に棋風があるとなお面白い。今は私はそういうスタンスだ。
以下のitumon氏の例えはうまいと思う。
論理的だがやや融通が利かない「激指」。固めるだけ固めて豪快に角を切って細い攻めで手を繋ぐ現代っ子の「ボナンザ」。時折喧嘩もする三つ子の「文殊」。最もプロに近い謎の青年(実は研究所生まれ)の「GPS」。
古風で荒々しいけれど一本気でカラッとした性格の「YSS」。海外からの寡黙な留学生「KCC」。クールで面倒みがよく、相手の攻めを丁寧に受けつぶす「棚瀬将棋」(現在療養中)。みんなのお父さん「柿木将棋」。プロ棋士をお父さんに持つ「TACOS」。
まぁ不可思議な手でなぜか異様に強い、というコンピュータ将棋にも将来的には(トッププロを完全に凌駕してしまった後の行き着く先として)魅力は感じるが。将棋とは本当はこういうゲームだったのか、将棋の格言はただのヒューリスティクス*3だったのか、と愕然とする日が来るのだろうか。
「コンピュータ将棋は七冠の夢を見るか?」
「将棋世界」2010年1月号から、片上大輔六段、山本一成氏、松本哲平氏らによって「コンピュータ将棋は七冠の夢を見るか?」と題した短期連載が始まっている。こちらも要注目だ。
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*1:「ボナンザチルドレン」、「ボナンザメソッド」の示す意味があいまい、というのも話題がぼやけてきた一因といえる。参考:「リアルボナンザチルドレンの時代 - 小宮日記」
*2:ソースからボナンザの強さの秘密を探る「Bonanzaソース完全解析ブログ」というブログがあるなど、開発者の方々から注目を浴びているのはもちろんだが、それよりも渡辺明竜王VSボナンザから約3年が経過し、さすがにそろそろまたプロ棋士VSコンピュータ将棋の公開対局を見たい一般ファンの方々の声の方が多数派だろう。開発者の方々から見ても、「本物とのフィールドテストの場」を望んでいるはず。
*3:ここでいう「ヒューリスティクス」は、「将棋の格言は・・・」と書いていることからもわかるように、計算機科学の世界ではなく、心理学の世界でいうところのヒューリスティクスだ。参考:「ヒューリスティクス - Wikipedia」
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