Googleブックサーチなんて怖くない?!棋書検索サービス案

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「この局面は以下の棋書に載っています」

長くなってしまいそうなので、先に案を書いておく。
局面を入力すると、その局面が載っている棋書を紹介してくれる棋書検索サービスまたはAPIがあってほしい。局面の入力方法には、以下のような方法が考えられるだろう。

  • 棋譜と、その棋譜の何手目の局面かを入力。
  • CSA形式やKIF形式棋譜ファイルにおける局面指定テキスト部(Kifu for Windowsなどで生成可能)を入力。
  • Kifu for Windowsや棋泉などで作成した画像ファイル(GIF、PNG形式など)をポスト。棋書検索システム側で画像処理を行い局面を特定し、検索。*1
  • 局面を手動で作成できるUIを検索システムに備えておく。

この検索システムを構築するには、棋書内で取り上げられている手順と局面をすべてデータベース化しておく必要がある。これができるのは、DTP*2段階のデータを持ち、そしてもちろん将棋に関するありとあらゆるノウハウを持つマイコミおよび日本将棋連盟にしかできまい。
局面検索は、

  • 局面図面による完全一致検索(極端な話、この検索だと図面が全く載っていない棋書は全くヒットしない)
  • 局面図面が載っていなくても、解説手順中の局面と一致していたらヒットと判定するあいまい検索

の2つから選べるとよい。あるいはもっと良い案があるかもしれない。

メリット

近年の将棋ネット中継では、将棋連盟の公式棋譜データベースを用いて「この局面は前例が〜件。〜戦と〜戦。そのときの手順は〜」のような解説がすぐさま書き込まれ、非常に参考になるが、その棋譜はわれわれファンは参照することができない*3
そこで、これに加え、「この局面は以下の書籍に載っている。」(URLリンク付き)というような情報があれば、「じゃあ将来の観戦の手引きに買ってみよう」という購入動機と購入手続きに繋がると考えられる。将来的に電子書籍が普及したネット社会では、まさしくその場で購入し、PCモニタまたはタブレットPC電子書籍を転送して即参照、というシステムになるだろう。
ネット社会では、ユーザーの衝動的な購買意欲を満たしてあげるシステムが得策だと思う。

検索システムの公開範囲

まずは、観戦記者を含む将棋連盟の内部の人間だけに公開でもよいだろう。
おそらく、これをオープンにして将棋ファンの誰もが使えるようにしても、書籍の売り上げ減には繋がらないと思う。局面をインプットしてどの棋書に載っているかの情報を得られても、「ネタバレ」になるとは考えにくいからだ。ユーザーには、その局面の優劣判断も、その局面の前後の手順の分岐も判断が付かない。第一、局面ならば現状でも書店の立ち読みで簡単に目に入る。
なお逆に、書籍をインプットすると「この棋書には以下の局面図面が含まれます」という「局面全バレ」システムだと相当まずそうだ。これだと、棋書の全体の流れ、分岐、そして優劣が何となくわかってしまいかねない。

似たような例では、こんなものがある。

台詞で映画情報を検索できるサービスだ。「この台詞が登場するのは、以下の映画です。」のような検索結果が得られるのだろう。台詞から映画が探せるのは、ネタバレでもなんでもない。検索者はその台詞を知っている(だからこそその台詞で検索する)、という前提がある。
この逆がまずいのは一目瞭然。「この映画では、以下の台詞が用いられています」なんて検索結果を出そうものなら、映画の内容すべてがネタバレとなってしまう。

金子氏の研究テーマ

2010/02/13のエントリー『「iShogiSalon for iPhone/iPod touch」レビュー』で述べたように、先日GPS将棋開発者の金子氏にお会いし、少しお話しする機会に恵まれた。
金子さんは、コンピュータ将棋の強さの追及はもちろんのこと、もう一方で将棋の自動自然言語解説の研究を進めている。

実際、Twitter上のGPS将棋ボット*4は、

仮に盤上の桂(8五)が先手の持駒であれば後手玉に詰がある.

王手を回避して,後手玉は▲8三金(以下)の詰めろ.

といった自然な解説を行う。
前述の席で金子氏が話してくれたのは、「棋書本文から手順と解説を抽出・分析して、自然な解説文を学習・生成できるようになるとよいですね。」といった内容だった(思いっきり意訳です。あまりにひどかったら、そしてこれを見ていたらご指摘下さい>金子様)。
その場で、私も前述のような図面からの棋書紹介システムができるとよいですね、と述べた。

電子書籍の時代に向けて

これからの電子書籍が当たり前になる社会では、書籍データ自体の活用は大いに有効になると思う。
これは他の学術分野での図や本文にも当てはまるのではないだろうか。

*1:図面のフォーマットや文字の形は基本的に一緒なので、何とかなるのではないかと思う。「LEGOマインドストームで詰将棋を解きたい」で紹介したように、LEGOマインドストームを用いた数独での応用実践例がある。

*2:デスクトップパブリッシング。「DTP - Wikipedia」などを参照。

*3:解説からすぐさま棋譜1つだけを購入するシステムを構築する、という案も将来的には考えられる。

*4:詳しくは「TwitterにGPS将棋ボット登場」などを参照下さい。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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