番勝負規定変更

タイトル戦番勝負、竜王戦挑決・朝日オープンなどの決勝番勝負で千日手が生じた場合、戦後に関しては指し直し局が決着した時に完結します。
たとえば、第1局が挑戦者先手で千日手となった場合、指し直し局は挑戦者が後手となりますが、第2局も挑戦者が後手、第3局は挑戦者が先手となります。そして最終局まで行けば、再度振り駒になります。
本規定は、2005年4月より、全棋戦の番勝負に適用されました。

これからは、千日手による指し直しを苦にしない棋士はもちろんのこと、番勝負で後手番を持ったときは積極的に千日手を選びにいく棋士が増えるのではないだろうか(戦型や定跡の熟成度によるが、一般的に将棋は先手のほうが勝率が高い)。逆に、先手側は千日手を避けにいく傾向が増えるだろう。ただし、有力な後手番作戦を持っていて後手番を持ちたい棋士もいるだろうし、id:mozuyama氏の「千日手についていろいろと」で述べられているような駆け引きもあるので、一概には言えない。
個人的な意見としては、トータルで判断して、今後タイトル戦における千日手が増え、また先手の勝率が現在より下がると思っている。

f:id:Fireworks:20100820110230g:image

危惧しているのは、後手番を持った棋士が序盤で千日手になりやすい戦法を選択する傾向が増えるのではないか、ということだ。例えば、先手四間飛車に対する後手居飛車2枚銀。最近では2003年NHK杯、中村修八段VS淡路仁茂九段戦が有名である(上図。今△6四歩と「打った」ところ。「淡路システム」と呼ばれているとかいないとか。詳しくは「将棋世界」2004年5月号、「盤上のトリビア」参照)。または後手一手損角換わり戦法からの向かい飛車など。これらの戦法は、先手、後手番ともに動きにくい。
番勝負に進出するほどのトッププロが、そのような志の低い手段をとることは考えたくない。まあ、これは杞憂に終わってくれるはずだ。

この記事を気に入ったらシェアしよう
URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

コメント

コメントする

目次
閉じる