初代永世竜王を賭けた戦い、実現

2008/06/17のエントリー「羽生善治−将棋の神様とたわむれる男」で、羽生善治永世名人誕生についての感想と合わせ、「永世竜王を賭けた戦いは、今期実現するのか?」という期待を述べたわけだが、それから3ヵ月後、羽生名人は本当に実現させてしまった。

 第21期竜王戦読売新聞社主催)の挑戦者決定三番勝負第3局が12日、東京・千駄ヶ谷将棋会館で行われ、午後11時18分、羽生善治名人(37)が180手で木村一基八段(35)を破り、2勝1敗で渡辺明竜王(24)への挑戦権を獲得した。(中略)
 羽生は19歳で第2期竜王となって以来、1996年に初の七冠制覇を果たすなど記録を次々と塗り替え、現在は名人、棋聖、王座、王将の四冠。今年6月に永世名人の資格を獲得して初の「永世六冠」となった。
 唯一残る永世竜王は、連続5期または通算7期が条件。通算6期の羽生が今期勝つと、初の永世竜王と「永世七冠」を同時に達成することに。
 一方、4連覇中の渡辺にも永世竜王がかかる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20080912-OYT1T00891.htm

一発勝負(挑戦者決定戦は三番勝負)のトーナメント戦で、過密スケジュールの中、挑戦権を勝ち取ってしまうとは・・・本当に神掛かっている。
羽生名人と渡辺明竜王にまつわるエピソードについては、「ものぐさ将棋観戦ブログ」様のエントリー「羽生と渡辺の物語が長い中断を経て今再び始まる」がとても詳しく参考になるので、ご参照あれ。

目次

作戦勝ちの将棋を勝ち切る難しさ

内容について一言で表すと、「木村一基八段が作戦勝ちの将棋(第1図)を勝ち切れなかった」といえる。

後手・羽生先生は振り飛車穴熊を崩してまでして玉頭に盛り上がるしかなくなり、その後は手詰まりに陥った。木村八段は4枚穴熊を完成させ、歩を2枚手持ちにし、後はいつ満を持して仕掛けるか、という状態だった。が、肝心の仕掛けるタイミングを間違ってしまった。第1図のタイミングで仕掛ければよかったのに、▲7六歩△同銀▲同銀△7五歩▲6七銀(一手手待ち)△8二金寄(硬くなったのはもちろん、浮き駒解消)のところで仕掛けてしまった。第1図までの指し手にも若干ちぐはぐなところがあったらしく、あまりの作戦勝ちに手が震え、思い切りが無くなってしまったのかもしれない。

作戦勝ちを勝ち切れるかどうかは、タイトルをとる(保持する)ために必要不可欠な要素だろう。
最近のド作戦勝ちの将棋としては、個人的には佐藤康光棋王VS羽生名人の第33期棋王戦第4局(第2図)が印象深い。第2図は、8六の角のにらみに屈し後手・羽生名人が泣く泣く△5三歩と打った局面だ。

他には、森内俊之前名人VS羽生名人の第66期名人戦第3局(「http://www.asahi.com/shougi/news/TKY200805090036.html」参照)も森内先生ド作戦勝ちの将棋といわれている。他にもこのようなタイトル戦があったら教えて下さい。
勝った佐藤先生は棋王位を防衛し、負けた森内先生は名人位を失った。

木村八段としては、「千駄ヶ谷の受け師」の異名に満足せず、作戦勝ちをしっかり勝ちに結びつける「仕掛け」を磨くことが課題か。もっとも、相手が羽生四冠でなければ震えず完璧に指せていたかもしれない。となると、「メンタルトレーニング」が必要ということか。

震えるのはどちらか

さてさて期待の竜王戦で、自分の将棋を出し切って勝つのはどちらか。臆して手が震えたほうが負け?いやいや、羽生先生の「震え」は特別だから、あてになりません。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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