マドンナの活躍に見る、将棋のライブ中継、リアル中継の可能性

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マドンナ、’08年に最も稼いだアーティストに

2008/06/02のエントリー『将棋界も、「マドンナのビジネスモデル」の採用を進めたほうがよいかも』で、マドンナがCD売り上げよりも音楽ライブツアー活動を重視する路線変更をとったことを引き合いに出し、

「マドンナモデル」を見習って、将棋界も「ライブ」を重視したビジネスをもっと積極的に進めたほうがよいのではないかと考える。

と述べた。
そのマドンナが、とんでもないぶっちぎりの記録を打ち立てた。もう一ヶ月以上前の記事になるが、以下の通り。

’08年、米国の音楽シーンでもっとも稼いだアーティストは、マドンナであることが判明した。
ビルボード』誌の発表した高所得者リスト“Moneymakers”によると、マドンナの昨年の収入は、なんと2億4,217万ドル(約220億円)にも上るという。その大半は、世界中で大成功を収めた“スティッキー&スウィート”ツアーの収益によるもの。
マドンナに次いで、2位にはボン・ジョヴィ(1億5,717万ドル)がランク・イン。以下、3位にブルース・スプリングスティーン(1億5,632万ドル)、4位にザ・ポリス(1億997万ドル)、5位セリーヌ・ディオン(9,917万ドル)と、いずれもツアーが大盛況だった面々がトップ5を占領。
アーティストにとって、今や楽曲のセールスよりもツアーによる収益の方が、総収入においてはるかに大きな割合を占めることを物語る結果となった。

私の眼は間違っていなかったみたいだなと少し自画自賛する一方で、ここまで活躍するとは全然思ってもみなかった。

「ライブ」+「リアル」=「大盤解説」、etc

上記『将棋界も、「マドンナのビジネスモデル」の採用を進めたほうがよいかも』では、有料化を見据えた将棋対局のネットライブ中継の充実化案について述べたわけだが、現在将棋界では実際にネット中継の全面有料化プランが水面下で進んでいるらしい。私は基本的にこの方向に反対はしていない。もちろん、値段に見合った充実した内容を提供することは大前提にある。

今回は上記エントリーでは省略した「大盤解説」のほうについて少し述べてみたい。
大盤解説は、実際にプロ棋士の解説を聞けたり、タイトル戦によっては対局者を目前に対局を観戦できたりする、非常に付加価値の高いイベントだ。「ライブ」(生体験)に加え、「リアル」(実体験)と呼べる要素をプラスしている、といえる。
最近私の中では、この「大盤解説」をもっと盛り上げることのほうが、高収益性を生み出せるのではないか、と考えている。野暮なお金の話を持ち出さなくても、純粋にネット中継よりもリアル中継の方が面白く盛り上がるに決まっている。
今では大盤解説でもいろいろな試みがなされているようだ。

午後2時からは、東京・千代田区の毎日ホールで開かれていた佐藤康光棋王による解説会が生中継で映し出され、“東京・徳島”の2元中継が実現した。副立会人の阿部隆八段と佐藤棋王の軽快なやりとりに場内は大盛り上がり。2日連続で観戦に訪れていた徳島市の男性は「対局だけでなく、棋王の解説も聞けて得した気分」と満足げに話した。

最後は竜王vsたにがわ先生の記念対局. 観客はイヤホン(恐らく同時通訳のときに使うもの)をつけて,別室の解説を聞きながら対局を見られます. 3つのハイビジョンに,盤面,大盤解説,対局者の姿が映し出されていてそれを客席から見られるわけです. 解説者が対局者を気にせずにどんどんしゃべれるのが特徴ですね.

今秋も大内延介九段による竜王戦七番勝負大盤解説会が10月31日、新橋駅前SL広場で始まった。主催は新橋商事(港区新橋2)で、同解説会は今年で10年目を迎える。

サブタイトルに『「ライブ」+「リアル」=「大盤解説」、etc』と書いた。最後のところの「etc」には、私の気持ちが現れている。おそらく、大盤解説に限らないもっと鮮烈な「ライブ」+「リアル」のソリューションがあるに違いないと考えている。
残念ながら、それが何かは現状では思い浮かばないが。

ちなみに最近では、若手プロ棋士の方々が積極的に将棋教室を開いているようだ。こういうリアルを組み合わせていくのもよいかもしれない。

新技術は必要か、否か

AR(拡張現実)も大盤解説会を盛り上げる1つのソリューションに成り得るだろう。

NHK杯の映像をwebカメラで撮影してリアルタイムに盤情報を取り込み次の1手情報を合成表示できれば、放送局に依存しないNHk杯の拡張現実放送が可能になる

ご紹介いただきありがとうございました。
私もこのようなアイデアを持っていた。定跡案内や、詰将棋探索なども考えられるだろう。さらにこの映像体験を、テレビ、ネット中継だけでなく大盤解説でも大画面スクリーンを用意してリアルタイムで実現できないだろうか・・・etc。夢は広がる。

ただ私は、こんな技術革新が無くても、現状の技術の範囲内だけでも大盤解説会が劇的に改善されるようなアイデアがあるのではないかと感じている。私自身が大盤解説に行ってみてもいいなと思うところまで、現状はあと一歩だ(たぶん)。
とりいそぎ、距離的制約をなんとか解決してほしい、かも。あと案外「タイトル戦パブリックビューイング」と今風に呼んでみるだけで一般社会へのイメージと広告効果が変わってくるかもしれない。

おまけ:AR広告

ARについて述べたついでに、おまけ。

バッターボックスの後ろにある球場の壁には、ちょうどカメラに映るように広告がペイントしてあるのが普通ですが、海外の球場でもしっかり日本の広告が表示されているのを見て、不思議に思った人も多いはず。実はあの広告のスペースは現地では無地となっており、位置検出技術を使ってCGの広告を合成して各国へ映像として配信しているもので、いわばヴァーチャル広告というわけです。

皆さんご存知だっただろうか。これはWBCに限った話しではなく、日本のプロ野球中継でも普通に行われている。

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この記事を書いた人

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」作者、兼二児のパパ。将棋クエスト四段。
「三間飛車の普及活動を通して将棋ファンの拡大に貢献する」をモットーに、奇をてらわない文章とデザインで記事を書き続けています。

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